なるほどエコ知識:エコホープ剤はなぜイネばか苗病に効くのか?エコホープエコホープDJ

イネばか苗病 Gibberella fujikuroi(ジベレラ フジクロイ)

イネばか苗病は学名Gibberella fujikuroi(ジベレラ フジクロイ)という糸状菌(和名:イネばか苗病菌)の分生子がイネの開花中に感染して感染籾となり、翌年の育苗期に発病する種子伝染性病害のひとつです。イネ種籾は浸種後、催芽(30℃程度の加温)することによって発芽しますが、感染籾中のイネばか苗病菌の分生子も同時に発芽して、イネ種籾の芽周辺に菌糸を伸ばします。その後、イネばか苗病の菌糸は葉鞘部組織内に侵入し、ジベレリンを生産してイネ苗を徒長・黄化させます。このときの様子を図1A、Bに示しました。罹病苗もしくは保菌苗を移植すると本田で発病し、不稔となり枯死してしまいます。

エコホープ剤はイネばか苗病に高い防除効果を示す微生物農薬ですが、どうやってイネばか苗病に対して防除効果を示すのでしょうか。エコホープ剤は生きた胞子が有効成分となっており、この生きた胞子をイネ種籾に処理すると、胞子は種籾表面の間隙(凸凹)に付着します。その後、催芽することによって、付着したエコホープの胞子も発芽してイネ種籾の芽周辺に菌糸を伸ばします。このようにイネ種籾が加温されて発芽するのと同時に、エコホープやイネばか苗病菌も発芽し、イネの芽周辺に集まります。このときの様子を図2に示しました。時間の経過とともにエコホープの菌糸とイネばか苗病菌の菌糸はイネの芽で接触します。両菌が接触したときの電子顕微鏡写真を図3に示しました。

エコホープは健全に菌糸を伸長し、胞子を再形成していますが、イネばか苗病菌の細胞壁は溶解しています。イネばか苗病菌の細胞壁の溶解は、エコホープの胞子から発芽・伸長した菌糸によって生産された細胞壁溶解酵素によるものと考えられます。エコホープが生産する細胞壁溶解酵素としてはキチナーゼなどが確認されています。細胞壁が溶解したイネばか苗病菌はイネ体に感染できなくなり、エコホープの発病抑制効果が完成します。また、エコホープがイネばか苗病菌に対して作用する期間はイネ種籾に加温される催芽時〜出芽時ですので、この期間(3〜4日間)、エコホープの菌糸伸長適温である30℃にできるだけ維持することがエコホープ剤の上手な使い方となります。

このようにエコホープは生きている胞子が発芽し、菌糸となって効果を発現するため、胞子が死滅してしまうとまったくイネばか苗病に対して防除効果を示しません。したがって、本剤を入手後は速やかに使用していただくことが、もうひとつの上手な使い方となります。