JAとぴあ浜松管内
ヤマゼン園芸 波多野氏にきく

黒いブドウは日本人のDNAに刻み込まれた味
新幹線掛川駅で乗り換え、天竜浜名湖鉄道に揺られること約2時間。都田(みやこだ)の駅を降りた。
静岡県浜松市都田町。この地域にピオーネが導入されてから30年。その導入の頃から生産に携わり、今も生産の第一人者で絶品のピオーネを栽培しつづける波多野氏を訪ねた。
ハウスの扉を開けると、ブドウ棚からこぼれる緑色の淡い光とともに甘い芳香がすうっと鼻に飛び込んできた。我々が一面に広がるブドウ棚に「わあ・・っ」と声をあげたのはそれからだ。
紫色の玉がぎっしりと並んだ一房一房には、嫁入りの時の角隠しにも似た真っ白な袋がかけられている。
「これはまだまだ黒さが足りない。本当に黒くなった時が一番甘い。いろんな品種も試したけれど、黒いぶどうを日本人が好むのはそうDNAに刻み込まれているからだろうね。」と波多野さん。
これから約ひと月の時をかけて一粒一粒が深い紫黒の宝石に変わっていく。

エコショットは果皮の汚れが少なく使いやすい
波多野さんは「土づくり・減化学肥料・減化学農薬」の3つの技術に一体的に取り組む農業者として認定を受けた『エコファーマー』でもある。
今期、灰色かび病を防除対象とした微生物殺菌剤「エコショット」を試用しての感想を伺った。
「今年は天候の影響で、病気の発生が多かったが、散布回数を増やしたり、化学農薬との体系処理を行うことで、化学農薬と同等の防除が可能だった。また、散布後の薬斑が全く見られないため、果皮の汚れの心配が少ないのも嬉しい。調整液自体に透明感があるようだ。微生物農薬として非常に使いやすいと思う。」
登録内容の拡大に期待
「エコショット」に不満がない訳ではない。登録内容だ。
「収穫前日のラベルがあれば、もっと使いやすいと思う。数年前、収穫直前の裂果により灰色カビ病が大発生し、ほとんど収穫できなくなってしまった生産仲間がいた。現在流通している化学農薬には収穫直前の使用基準がないが、安全な微生物農薬にこそ収穫直前の使用を期待したい。」
都田のピオーネ

都田のピオーネの作付け面積は約30ha。そのうち2割がハウス栽培を行っている。
静岡でぶどう栽培をイメージするのは難しいかも知れない。波多野さんらは30年前、みかん栽培からの切り替えから試行錯誤を繰り返し「都田ピオーネ」のブランドを築いてきた。苦心も多かったが、地の利を活かして高品質のピオーネ栽培を可能とした。
都田地区は栽培期間の日射量が多い。このため、非常に香り高く、甘いピオーネが出来るのが特長。昨年も糖度21度を誇る商品を出荷している。温暖な気候を活かし、出荷も早くすることが出来る。
その市場での評価は高く、バブル期には都心向けに非常な高値で出荷されていたこともあるという。
現在は地産地消の観点から、浜松市内の市場のみの出荷を行っており、市外での食卓を飾ることは少なくなったが、観光農園として「ピオーネ狩り」も実施しており、足を延ばせばその甘美な味を堪能することが出来る。











